日向くんを本気にさせるには。



「あ、あのさ…っ」

わたしが心を決めて話そうとした時


「よかったな。」

朔の一言に遮られた


よかったな…って…
ふと朔の表情を見るとこっちを見て笑ってるのに…どこかその笑顔は悲しそうで……



「な、何言って…」


その先の言葉をグッと飲み込んだ

何言ってるのなんて聞くわたしはバカだ…バカすぎる


日向くんとのことあれだけ噂になってるんだから


朔の耳にもそれは入ってきてる…
だからわたしが何を言うかなんてわかりきってること


「ご、ごめ…っ」

とっさに、ごめんが出そうになったけど


「バーカ、謝んな。」


こんなこと言いながら朔の大きな手がわたしの頭を撫でた


撫でたっていうより


「ちょ、ちょっ。まってよ!」


髪くしゃくしゃにされてるって言い方の方が正しかったり?


「そんなあからさまに申し訳なさそうな表情するお前が悪いんだろ?」


「うっ…だって…」

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