嘘は取り消せない
Q、もし元彼に彼女が出来てたら
祝福できますか?
A、祝福したいと思っています


急に話しかけられて肩がはねる
「な、んですか? 秋月先生」
「俺、彼女出来たから」
この一言
一言だけだったけど胸が痛い
「……っ 急に何のことですか?」
「わからないなら別にいいけど」

蛍に彼女?
まぁ、出来て当然か
こんなにカッコイイんだもの
昔とほぼ変わらない
少しだけ長めの黒髪
邪魔になると言って目にかかる前髪は
右側だけピンを付けているまま
昔とだいぶ違うのは目元にメガネが
あるかないかだけ
どんな風になってもかっこいいんだね、蛍
でも、今日限りでこの感情なんて捨てよう
好きな人を祝福できないなんて
最低な人になる
だから自分の気持ちを押し殺していこうか
大丈夫、慣れてるから
嘘をつくのは慣れてるから

私が蛍にしたことはそれだけ重いことだから


「彼女、きっと可愛らしい人なんでしょうね
おめでとうございます」
「どうも」

学生の頃得意だった作り笑いが役に立つ
自分を押し殺して、
蛍を、秋月先生を祝福しろ


これで良かったのかな



やっぱり、すごく、胸が、痛いや


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