【完】キミにぞっこん
「いや、無理じゃなければなんだけど」



どこか落ち込んだ様子の如月さん。


きっと女の子にモテるから。
誘って断れれたことなんてないんだろうな。



「これってチケットとるの難しいんじゃ?」


「あー。なんかもらったんだよね。二枚」



なんとなく直感でわかった。
女の人にもらったんじゃないかって。



「一緒に行く人いないんですか?」


「ん。一人で行こうかなって思ってた」


「じゃあ、一人で行ったほうが…」


「いや、君と行きたい」



如月さんがあたしを見つめる。



「…如月さん」


「俺といくのいやじゃなかったら
一緒にいってくれないかな?」


「…はい」



あたしは彼の瞳に吸い込まれそうになりながら
それだけ返事をする。



「よかった。じゃあこれ」



カバンからチケットを取り出す。



「ありがとうございます」



< 33 / 235 >

この作品をシェア

pagetop