ミステリアスなユージーン
「そうだよ。私、安藤君に興味あるんだよね。安藤君は誰かと違って癒し系だし、優しいもん。誰かみたいに意地悪も言わないだろうし身体だけを求めたりしないだろうし」

ああ、やらかしてる、やらかしてる、私!!

佐渡君と安藤君を比べるなんて、嫌な女でしかないじゃん!なんでこういう事言っちゃうかなぁ、私!

その時ほんの少し、佐渡君の身体がピクリと動いた。

「……離して」

可愛くない私の快進撃は更に続く。

「……」

「離してよ。帰ってきた安藤君に見られたらどうするのよ。どうにかなれる確率さがるじゃん」

少し力をいれると、佐渡君の腕は簡単に外れた。

……彼の顔を見る勇気も、私の顔を見せる勇気もない。

俯いて髪で顔を隠し、大股でブレイクルームを出ながらめちゃくちゃ落ち込む自分に気づく。

ああ。私、本当につまらないダメ女だなあ。

佐渡君を置き去りにしてデスクに戻ると、私はガツンと頭をぶつけて突っ伏した。

∴☆∴☆∴☆∴

オフィスを出ていったまま帰ってこない安藤君から連絡が来たのは、それから数分後だった。

『菜月さん、僕、急な打ち合わせが入っちゃったんで、《牛神》で待っててください。僕の名前で予約いれましたから』

『了解。じゃあ、先に一杯だけ飲んで待ってるよ』

牛神は、たまにSD課の皆で行く焼肉店だ。
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