ミステリアスなユージーン
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岩本菜月の第一印象は、単純な女といった感じだった。
小柄で背中までのウェーブヘア。形のよい輪郭や、黒目がちの大きな瞳は悪くはない。
だが気が強く、すぐ感情を顔に出すところが俺よりも二歳年上のわりには子供っぽかった。
仕事に対する考え方を知りたくて少し煽ると、たちまち彼女はムッとして俺を睨んだ。
『さぞかし岩本さんのデザインする空間とやらは、見るものを魅了する無限の可能性を秘めてるんでしょうね』
それからほんの出来心で俺が言った嫌みなこの言葉に、彼女は自信満々でこう答えたのだ。
『見るものを魅了?そんなの甘いわ。見る人だけじゃないわよ。私が作った空間に一歩入ったなら、その人に夢をあげるわ。たとえその人が涙していたとしても、私がデザインした空間にいる限り、幸せにしてあげるのよ』
凛とした眼差しで俺にこう言った彼女に、思わず息を飲んだ。
今までに俺は、こんな風に自分の仕事の腕を自負する女性に出逢ったことがなかった。
これが、俺が岩本菜月に興味を抱いた瞬間だった。
岩本菜月の第一印象は、単純な女といった感じだった。
小柄で背中までのウェーブヘア。形のよい輪郭や、黒目がちの大きな瞳は悪くはない。
だが気が強く、すぐ感情を顔に出すところが俺よりも二歳年上のわりには子供っぽかった。
仕事に対する考え方を知りたくて少し煽ると、たちまち彼女はムッとして俺を睨んだ。
『さぞかし岩本さんのデザインする空間とやらは、見るものを魅了する無限の可能性を秘めてるんでしょうね』
それからほんの出来心で俺が言った嫌みなこの言葉に、彼女は自信満々でこう答えたのだ。
『見るものを魅了?そんなの甘いわ。見る人だけじゃないわよ。私が作った空間に一歩入ったなら、その人に夢をあげるわ。たとえその人が涙していたとしても、私がデザインした空間にいる限り、幸せにしてあげるのよ』
凛とした眼差しで俺にこう言った彼女に、思わず息を飲んだ。
今までに俺は、こんな風に自分の仕事の腕を自負する女性に出逢ったことがなかった。
これが、俺が岩本菜月に興味を抱いた瞬間だった。