ミステリアスなユージーン
そうなのだ。

それにいつも彼は私の事ばかりを訊きたがったし、なんだかタイミングを逃したままで……。

「……」

「でも変よね。彼はブランディングが本職なんでしょ?どうしてSD課に入ったんだろう」

「……さあ……」

一通り話して会話が途切れた時、沙織が気を取り直したように口を開いた。

「ねえ、いつ紹介してくれるのよ、家具職人!」

「ほんとに雅野先輩でいいの?!見た目はワイルド系イケメンだけど、中身は多分、神経質だよ?」

「そりゃそうでしょうよ。ガサツな奴が作ったタンスなんか、引き出し閉まらなくなりそうで嫌だわ」

「それに超女好きで、週に三回はキャバクラ行ってるよ?」

「淋しいのね、可哀想に」

「知らないからね、私。クレームお断りだからね」

「いいから、紹介して!気に入らなかったらゴミのように捨てるから」

悪魔かアンタはっ!

「それにしてもユージーンスペースの第七項目はまさにその通りだわ。ミステリアスだよね、ユージーンは!」

そう言って空のジョッキを高らかに上げ、スタッフにお代わりを告げる沙織を見て私は苦笑した。
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