ミステリアスなユージーン
もしかして……佐渡君は……。

今すぐ彼に話を聞きたいという衝動に駆られたけど、彼はここにいない。

じゃあ、課長は……?課長はなにか知ってたの?

島根部長がオフィスから出ていき、課長が戸惑う私たちを見回した。

少し困ったと言わんばかりに苦い笑いを浮かべた彼は、静かに話し出した。

「佐渡の事だが、彼はSAグループの」

「課長、俺から言います」

小さくドアの開く音がしたあと、佐渡君の艶やかな声が響いた。

状況を飲み込めない皆が佐渡君を見つめる中、彼は少し頭を下げた。

「色々あって、俺の素性は社長に口止めしました」

「しゃ、社長に?!」

安積くんが、驚きを顕にして尋ねた。

佐渡君はそれに小さく頷いて、話し出した。

「去年アリシア工藝から俺の勤務するSAグループブランディング課に、プロデュースの依頼が来ました」

SAグループは確かに契約会社で重要な取引先だ。
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