ミステリアスなユージーン
「新庄課長、イイ男だと思ってたのになあー。 彼女と正式に婚約したのを内緒にするズルい男だったとは……残念だわ」

私はジョッキを空にするとハアッと大きく息をついて笑った。

「ユージーンと寝たのは、変な言い方だけど安定剤になった。課長との事は綺麗サッパリ忘れる!で、ちゃんとした恋人を作る!」

沙織がパアッと顔を輝かせた。

「やっとその気になった?!なんか私、嬉しい!二人で頑張ろっ!恋人作ってさ、婚活しよ!」

「……そうだね、もう三十路だしね。これを期にいっちょ頑張るか」

「そうよそうよ!新たなスタートラインに立てたと思えばいいわよ」

「だね!」

「二杯目頼むわよ!」

「オッケ!私、ハイボールに変えるわ」

「私も!」

私達は顔を見合わせると大きく笑った。


∴☆∴☆∴☆∴


『そんな顔して、これ以上煽らないでください』

『もっと動いてもいいですか』

薄く闇の広がる部屋で、低く艶やかに響いた佐渡君の声と、引き締まった逞しい身体。

次第に荒くなっていく呼吸と、クッと奥歯を噛んで眉を寄せた彼の顔。

「うわああっ!」

だ、ダメよダメ!あの濃かった夜の事はもう封印しなきゃダメ。

駅からの帰り道、一人になった私は思わず佐渡君との夜を思い出してしまい、慌てて頭をブンブンと振った。
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