ミステリアスなユージーン
「うん。明日アポとってるから挨拶しておくね。じゃあね、みんな!連休明けに会いましょ!」

オフィスの皆と手を振り合い、一息つこうとブレイクルームに入ると、後ろから安藤君が声をかけてきた。

「菜月さん、今日はもうあがりですか?もし用事がないなら、飯行きません?」

振り返るとニコニコと笑う安藤君と眼が合う。

……犬みたいだな、安藤君は。やっぱ可愛い。

「行く行く!明日からは現場作業だからさ、体力つけないとね。焼き肉なんてどう?」

そう言うと安藤君が私を見たまま、一瞬ボケッとした。

それから我に返ったように瞬きをして、

「マジですか?!スゲー嬉しいです、僕!菜月さんと焼き肉なんて……!」

「大袈裟だよ!じゃあ、コーヒーやめて行こ!」

「はい!僕ちょっと資料室行ってきますからオフィスで待っててください」

「分かった」

安藤君が手を振って入り口から姿を消し、私は手に取っていたカップを元に戻した。

明日は連休初日だ。

今のところ呉服桜寿の案件は順調に進んでいる。

全ての窓ガラスの紫外線対策は完了したし、壁の珪藻土も塗り終えた。

ライティングは仙道君がチェック済みだし、明日はフロア自体の細かなチェックをした後、大女将に見てもらって……。

あ、スタッフルームももう一度見なきゃね。
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