キミは甘のじゃく

『ブス、どけよ』

私に与えられるのはいつも、ひどい嘲りの言葉ばかりだった。

『あのバカ……。マジで許さんっ!!』

『大丈夫よ、しいちゃん。別に気にしてないから』

心配かけないように大丈夫と言う度に、その実どんどん卑屈になっていった。

……私は見るに堪えないほどブサイクなんだ。

……ひどいのろまに違いない。

古賀くんの言葉は私の心をじわじわと蝕んでいった。

彼の脅威から離れた後も、せめて人並みになろうと懸命に努力してオシャレして、メイクも研究して、人一倍頑張らないと誰からも認めてもらえないんだといつも肩肘張って生きてきた。

そんなトラウマを植え付けておいて、今さらどの面下げて私を責めるの?

「古賀くんなんて大嫌いよ……」

どんなに思わせぶりな台詞を吐いてきても、もう惑わされたりするものですか。

いつも根底にあるのは、中学生の時のあの振る舞いだ。

「さ、くら……」

私はこの日、初めて古賀くんに反旗を翻したのだった。

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