キミは甘のじゃく

「や、あの……。私……今日は……ソファで……」

拒絶するように手で身体を押し返すと、古賀くんの眉間に皺が寄った。

「っん……!!」

キスをする時は逃げられないように、後頭部を押さえつけるのが彼の癖である。

骨まで食べつくさんばかりの熱い口づけの合間に、囁かれるのは甘い睦言ばかり。

「聞こえねーんだよ、バーカ」

……深入りしてはいけないと分かっているのに。

また、今日も私は……性懲りもなく……。

「今日もたっぷり可愛がってやる……」

古賀くんは宣言通り私の身体の隅々まで余すところなく堪能すると、最後に首の後ろにチュッと口づけてすうすうと寝息を立て始めた。

(絶対に間違ってる……)

クタクタになった身体が心底怨めしい。

……どちらかと言えば可愛がられているのは私の方である。

甘えた男子に豹変した古賀くんとの新生活は。

……時々、切なくてちょっぴり刺激的なのだった。

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