開かずの教室
開けてしまった…

あなたは旧校舎のドアを開けた。

カビとホコリの匂いが、もやのように這いだしてくる。

時刻は午前2時。夏休み中の学校。しかも深夜。当たりに人気は無い。

あなたは、首筋に止まった蚊をペチと叩く。つぶれた蚊から、手のひらに真っ赤な血。

その量があまりに多いことに、あなたは驚く。

「どうしたの、はいらないの?」

扉の前で動かなくなったあなたは、声をかけられて旧校舎の中をみた。

光のない、真の闇が満ちている。

あなたは懐中電灯のスイッチを入れ、旧校舎の中を照らす。

そして、何か決心したかのように、大きくうなずいた。

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