空と君とダイヤモンドと
「絶対なんかある」



ワカは納得できてない顔でケーキに向かう。



なんとなく。
ただなんとなく言えなかった。



〝ワカと付き合ってるの?〟


聞かれたなんて。
ワカにだけは言えなかった。


事実だとしても



〝付き合ってない〟



そう否定したことをワカには言っちゃいけない気がしたんだ。



「瑛梨奈、新しい恋とかしないの?」



ケーキを頬張ってるあたしに架純が突然聞いてくる。



「なに、突然」


「そろそろいいかなって。好きって言ってくれてる人もいるんだし」



架純が見てるのはワカ。
ワカのことを友達以上に思えれば救われるって思う。
でも気持ちはごまかせない。



「まだ2ヶ月ちょっとしか経ってないし…」


「大丈夫。俺ずっとかわんねぇからずっと待てるし」



ワカのセリフは嬉しい。
でも応えられないから辛い。



「大丈夫。急ごうとか思ってないから」



あたしの頭をポンポンっと叩く。


ワカの手はあたしを落ち着かせる天才だ。

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