空と君とダイヤモンドと
「ちょっと下から飲み物とってくるから待っててね」



瑛梨奈ちゃんを部屋に座らせる。



「はい。すみません」



力なく笑う瑛梨奈ちゃんに胸が痛む。
俺が守ってやりたかったのに。
1度傷つけてしまった俺にはその資格がなかった。
あの時ちゃんと瑛梨奈ちゃんに向かい合えてればこんなことにはならなかったのだろうか。



「塁さん」



キッチンでお茶を入れてると後ろから話しかけられる。
振り向かなくても誰かわかる。
俺の好きなヤツがこいつを想って泣いている。



「誰か来てるんすか?」



二つあるコップをさして言う。



「うん。来てるよ」


「クリパっすかー?」


「お前が今日傷つけた子がいるけど?」



能天気そうに笑うワカに腹が立って仕方なかった。
なんで、今日だったんだよ。
2年連続で瑛梨奈ちゃんにとってクリスマスが最悪なものになってしまってる。
来年は俺が。
その想いが強くなる。

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