空と君とダイヤモンドと
「良基」


「おお、行くぞ」



良基があたしを連れて階段を上がる。
本当はこの上は行けないから良基が連れてってくれる。
1人では言っちゃいけないんだ。

この寮に入るのは二回目。
前はあのワカに振られたクリスマスに塁くんの部屋に行ったとき。
今度はワカの部屋に行くなんて。



「ねぇ、今日塁くんは?」


「朝からどっか出かけたよ」


「そっか…」



ホワイトデーはとびっきりのプレゼントをくれるなんて言ってたのにな。
用事あるなら仕方ないよね。



「ほら、入って」



良基に通された部屋のベッドにはワカが苦しそうな表情を浮かべて寝ていた。



「昨日より熱あがってるの?」


「うん。夜に病院行って薬はもらってんだけどね」


「そっかー。まぁ、看病は任せてよ」



あたしがいていいのかわからないけど。
でも、誰もいないよりはましだろう。



「じゃあ、俺バイト行ってくる!」



しゅたっと立ち上がって、部屋を出ていく。


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