空と君とダイヤモンドと
「710」



とだけあたしにコソっと耳打ちをしてワカがエレベーターに向かう。



「710…」



来いって言ってるんだよね。
ワカの部屋なんだよね。


こういう場合どうしたらいいのかな。
だってワカには小宮麗華がいるんでしょ。



「とりあえず自分の部屋に行こう…」



選手たちの波が収まったみたいなのであたしもやっとエレベーターに乗り込んで6階を押す。



「Fの選手と同じホテルなんて…」



こんなのなんのイタズラ?
もう会えないと思っていたのに。

でも、会わないほうがいい予感しかしない。
だって、また悲しい思いはしたくない。
〝必要ない〟そう言われるのが怖いんだ。


もう言いたいことをなんでも言えてたあの頃とは違う。
これは何度も卒業してから思ってきたことだった。



「もう振り回されたくないよぉ」



これ以上、期待と不安を繰り返すぐらいならもういっそ忘れてしまったほうがいい。

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