【完】蜂蜜色のヒーロー。
「だけどさ、今のその状況に不満も文句もないよ。一緒にいられるだけで幸せ。妃莉は、路惟が力になってくれないと、好きじゃないの?」
「そ、そんなわけないよ……っ!」
「そうでしょ? あたしだって、生真には釣り合わないよ。でも、だからってそこで身は引かない」
───好きだから。
葵が目を開けて、私をじっと見つめながら、恥ずかしがることもなく、そう言った。
それはまるで、あんたはそこまで好きじゃないんでしょ? とでも言っているみたいだった。
「釣り合うかどうかを気にする、ってことって、結局自分が周りにどう思われるか気にしてるってことでしょ?」
「そ、そんなこと……っ」
ないってわけじゃないかもしれない。
言われてみれば、確かに……周りが釣り合わないと言わなければ、本人たちは気にならない。