【完】蜂蜜色のヒーロー。
今まで、なにかに夢中になるとかそういうのはなくて、なにに関しても無関心だった。
周りがバスケとかサッカーに夢中になる姿が、自分の好きな奴に夢中になっていることが、うらやましかった。
だけど妃莉は、そんな俺のもとへ唐突に現れて、土足で俺の心のなかへ踏み込んできた。
……一目惚れだった。
普通に、ほとんどなにも知らない妃莉のことが、これでもかってぐらい好きだった。
だからこそ近づきたくて、無理だと告白を断られてからも諦められなくて、デートをしたくて、して。
……妃莉を傷つけた。
たったひと言、ごめんって言ってやれなかった。あいつは……ミサキは、ふたつ年上の幼馴染で、なにもねーけど。
それでも妃莉を傷つけたことに変わりはねーから、言い訳なんてしねーけどさ。
できるなら、もう1回話してえよ。
友だちでもいい。