【完】蜂蜜色のヒーロー。
【黙って聞くから、手離して】
メモアプリにそう書かれて、私は慌てて手を離して、何度か深呼吸を試した。
もう御津くんは、私のことが嫌いかもしれないし、話したくもないかもしれない。
でも、こうしてここまで連れてこられたってことで……期待してもいい?
「この間は……誕生日を台無しにして、酷いこと言って、ごめんなさい」
まず言うことは、これ。
1年に一度しかない誕生日を、私が台無しにしてしまった。だからずっと、ごめんねは言わなきゃって思ってた。
「あのね、私……気づくのが遅くて、御津くんはもう、そういう想いはないかもしれないんだけど」
「……うん」
「御津くんが、……好きで───!?」
頑張って、結果がだめでもそれは言おうと思っていた言葉……だけど、言い終わる前に、手で唇を塞がれた。
先ほど、私がそうしていたように。
「……俺に言わせろよ、カッコわりぃだろ」
「……?」
「妃莉こそ、黙って聞け」