【完】蜂蜜色のヒーロー。
思わず苦笑いの漏れた路惟くんは、幾分緊張や不安も和らいだのか、ようやく私から離れた。
よかった……逢うって言ったとき、『妃莉を傷つけた相手と?』と目をギラギラさせていたから、殴りかかったりしないか不安だったんだ。
「なんでお前金髪なわけ?」
「え、マンガに憧れて」
「小学生か」
「えー、じゃあ御津は? なんで純粋な茶色じゃねーの?」
髪色のことで盛り上がるふたりは、本当に楽しそうだった。
「理由はねーよ。ちょっと荒れてたときにいろいろ染めて……一番しっくり来たのが、これ」
「へーえ、真面目そうなのに荒れてた時期あったんだ?」
「親に反抗したくて」
「へー! お前いいな、おもしろい!」
「は? なんでそうなるんだよ」