【完】蜂蜜色のヒーロー。
そのあと、コーヒーが運ばれてきて、私たちは一気に暗い雰囲気になった。
楽しかった雰囲気を壊したくないし、長谷川くんはすごくいいひとになっていた気がした。
だから今さら、2年前のあのときのことを掘り返したくなかったし───長谷川くんがあの頃、なにを思っていたのか聞いたところで、どうにもならない。
話を聞いて、謝られたところで過去はなくなりはしないし、辛かったあの日々が消えるわけじゃない。
だったら、楽しい空気のまま、終わったほうがいいんじゃないかな?
「……長谷川くん」
「………ハイ」
「これからも、友だちとしてよろしくお願いします」
「……え?」
ぺこりと頭を下げた私に、長谷川くんも路惟くんも呆気にとられていた。きっと私が、長谷川くんのことを責めると思っていたんだろう。
だけど、今さらなんだよ。なくならない過去をいつまでも言ってても、仕方ないでしょう?