【完】蜂蜜色のヒーロー。


……それにね、私が今路惟くんと付き合えてることが、なによりの証拠だと思うんだ。


今も誰とも付き合えてないんだったら、長谷川くんのことを責めるべきかもしれないけど。



私は路惟くんと彼氏彼女になれたわけだから、もう長谷川くんのことを根に持つ必要なんて、まったくない。



「あ、それよりさ、私も焦げ茶くらいに染めたいんだけど、いいお店ある?」


「え……エッ、ちょ、ちょっと待ったッ!」


「ん? どしたの」


「エッ、だって! 今日は俺を怒りたかったんじゃねーの?」



ところどころ片言になる長谷川くんに、私は首を傾げるばかり。


メッセージでは、【長谷川くんと話したいので、今週の水曜日の放課後に、ミノウエカフェに来てください】って送っただけ。



怒りたいとか、怒鳴りたいとか、仕返ししたいとか、そういうことを言いたいだなんて、ひと言も言ってない。


……普通に勘違いだよ。



「え、そんなこと言ってないよ」


「……うん、そうなんだけど。普通そうするもんなんじゃん?」


「でももう、長谷川くんのこと怒ってないから。それでいいよ」

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