【完】蜂蜜色のヒーロー。
安心させるために、きゅっと口角を上げて笑った私に対して、固まり続ける長谷川くんは、我に返って様々な質問をした。
俺のこと嫌いなんじゃないの?
これからも友だちでいていいの?
質問をひとくくりにすると、長谷川くんは主に数々の質問の中でそんなことを言っていた。
ちゃんとひとつひとつ答えた私の言葉を聞いて、長谷川くんはようやく、ほうっと間延びした息を吐いた。
「ありがとう妃莉」
「ううん。でもね、ひとつだけ約束してほしいの」
「……ん、なに?」
一瞬強ばった顔が、すぐにふわっと崩れて優しく微笑んだ。中学生時代には、一度もそんな顔を見せたことはなかった。
やっぱり、長谷川くんはいいひとに生まれ変わったんだ。