【完】蜂蜜色のヒーロー。


手をばたつかせた私に、ちらりと視線をやった御津くんは、「ああ、あれか」と目の前のショッピングモールを指さして、話を逸らした。


む……絶対ほんとの理由があるでしょ。



と、ひとりむくれていると、勝手に頭の中で“なんで”が解決された。


思い出してみれば、交換してもらっていた道は、全部車道側だった───そっか、御津くんは私を、ひとりの女の子として、扱ってくれてたんだ……。



「……御津くん、ありがとう」


「なにが。俺、なにもしてねぇけど」


「うん、それでもいいよ」


「………」

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