【完】蜂蜜色のヒーロー。


さっさと歩き出してしまった御津くんを追いかけると、「迷子になるなよ」と当たり前のように、背中を押されて、先にエスカレーターに乗った。


……優しいな。



3階にたどり着いた私の手を、さりげなく握った御津くんは、軽い足取りで右へ曲がったけど……。



「御津くん、お店あっちだよ。左」


「……先に言えよ、バカ」


「っ……」



初めて砕けた口調になった。


ちょっとは心を許してくれたの?

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