冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
リュカがいる席で、話をするのははばかられた。
クラウスが話しかけてくることもなく、食べ物を無理に口に押しこみお茶で流しこんで、朝食は終わった。

クラウスの自室か書斎にお茶を出すとき、二人でいるときに話をーーーと心に決めた。

10時に書斎で調べ物をしているクラウスにお茶を出した。
トレイの上には、いつもと同じ二人分のティーセットが載っている。

フロイラが入ってゆくと、クラウスは書棚にかるく背をあずけ、両の手でひじをつかんだ格好で、こちらへ視線を向けている。

「ーーー失礼いたします」

ポットのお茶はちょうど飲み頃のはずだ。入れっぱなしでは出すぎて渋くなってしまう。
こんな時でも気になって、結局二人分のお茶を注いだ。

「ーーー何か言いたそうな顔だな」
クラウスの不機嫌そうな声が、静かな書斎に響く。

「・・はい、あの・・・」
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