冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
「どうせここを出て行くとでも言うつもりだろう」

「・・・・・」

お前はいつでもなんでも顔に書いてある、投げやりな物言いだ。

「出て行くことは許さん」

「どうしてですか?」

「だいたいここを出てどこへ行くつもりだ。他の男の世話になるのか?」
フロイラの言葉を無視して、クラウスは質問を返してきた。

「いえ・・・どこかで働きたいと・・」

ふん、とクラウスが酷薄な笑みを浮かべる。

「お前は俺に債務を肩代わりしてもらった身だ。忘れたわけではないだろう」
言いながら、こちらへ足を進めてくる。

「だいたいそのドレスも身につけているものも全て、俺が与えたものだ。出て行きたいなら裸で行くか?」
肌に突き刺さるような、彼の視線。

「どうして・・どうしてそのような、お金で縛るような真似をするのですか?」
悲鳴のような声が出る。

「お借りしたものは、一生かかってでもお返しします。ですから・・・」
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