冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
「あいにくだな、ここの主は俺だけだ。女は一人もいない」
お姉さま・・・
「ーーーそれでお前はこれからどうするつもりだ」
わずかばかり角のとれた口調でクラウスが問う。
「せ、せっかく助けていただいた命ですので、家に戻ります。
・・・親族の言う通り、結婚するのがよいかと」
「嘘が下手だな」
心臓がぎゅっと縮こまる。
「ここを出たらどうせ、今度はそのへんの運河にでも身を投げる心づもりだろう。若い女が、その命を絶とうとしたんだ。生半可な覚悟でないことくらいは分かる」
感情を押し殺したような声だった。それが怒りなのか、それとも別のものかは分からないけれど。
どうしようもない身の置き所のなさを感じながら、一方では思わずにいられない。
どうしてそんなことが分かるのーーー?
侯爵様である方が・・・
お姉さま・・・
「ーーーそれでお前はこれからどうするつもりだ」
わずかばかり角のとれた口調でクラウスが問う。
「せ、せっかく助けていただいた命ですので、家に戻ります。
・・・親族の言う通り、結婚するのがよいかと」
「嘘が下手だな」
心臓がぎゅっと縮こまる。
「ここを出たらどうせ、今度はそのへんの運河にでも身を投げる心づもりだろう。若い女が、その命を絶とうとしたんだ。生半可な覚悟でないことくらいは分かる」
感情を押し殺したような声だった。それが怒りなのか、それとも別のものかは分からないけれど。
どうしようもない身の置き所のなさを感じながら、一方では思わずにいられない。
どうしてそんなことが分かるのーーー?
侯爵様である方が・・・