冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
「このあいだも、俺の不在を知っていたかのように来たからな。
貴殿がうちの使用人に金をつかませて、俺の行動を探っていると察しがついた。だから逆に泳がせて、偽の情報を流した。
街に所用があったのは本当だが、せいぜい1日で済む用件だ。こっそり戻って狩猟小屋でリュカと、お人好しがのこのこ現れるのを待ってたわけだ。
敵を欺くにはまず味方からという格言があってな。知っていたのはジーヴスだけだ」
淡々、といった口調だ。
「なにか勘違いをしていらっしゃるようだ、侯爵殿。
わたしはそちらのご令嬢が貧血で意識を失ったもので、介抱していただけのことですよ。
あなたはわたしの香水のアトマイザーをくすねて、中身を入れ替えた。
侯爵殿がなんと言おうと、世間はそのように見るでしょう」
なめらかで艶のあるベルベットを思わせる声音。声までもが、洗練という衣をまとっているようだ。
貴殿がうちの使用人に金をつかませて、俺の行動を探っていると察しがついた。だから逆に泳がせて、偽の情報を流した。
街に所用があったのは本当だが、せいぜい1日で済む用件だ。こっそり戻って狩猟小屋でリュカと、お人好しがのこのこ現れるのを待ってたわけだ。
敵を欺くにはまず味方からという格言があってな。知っていたのはジーヴスだけだ」
淡々、といった口調だ。
「なにか勘違いをしていらっしゃるようだ、侯爵殿。
わたしはそちらのご令嬢が貧血で意識を失ったもので、介抱していただけのことですよ。
あなたはわたしの香水のアトマイザーをくすねて、中身を入れ替えた。
侯爵殿がなんと言おうと、世間はそのように見るでしょう」
なめらかで艶のあるベルベットを思わせる声音。声までもが、洗練という衣をまとっているようだ。