お見合い相手は冷血上司!?
いつもより三本早い電車に乗って、朝の白い明るさが広がる景色を歩く。
まだ受付嬢すらいない静寂に包まれたオフィスビルの中には、私の足音だけが高く響いていた。
通い慣れた営業課のオフィスの前で、足を止める。
昨日の夜は、この扉の前に立つと緊張して動けなくなると思っていたけれど、むしろ今は清々しいほどに落ち着いていた。
一度深く深呼吸をしてからゆっくりとその扉を押し開けると、電気もついていない薄暗いオフィスの中には、動く人影が見えた。
「――やっぱり来たか」
その人は、窓から入る和やかな朝の光に照らされている。
こちらを見つめる柔らかな薄笑みを見つけて、私は思わずカバンも放り出して走り出した。
「久しぶりだな、鈴原」
胸に飛び込む私を抱き留めた彼は、淡い声で囁く。すると身体中が痺れるように熱を持ち、やはり自分はこの人を好きなのだと嫌でも実感させられた。
「課長……」
彼のシャツを掴み、目の縁から染み出してくる涙を必死で堪える。