お見合い相手は冷血上司!?
 すると彼はその涙を掬い取るように、私の目元にキスを落としていった。
 唇が触れる度に、堪え切れなくなった熱い雫が溢れ出す。

「課長、本当に……ここを辞めるんですか?」

 涙混じりに絞り出した声はちゃんと彼に届いているか心配になったけれど、顔を上げた彼は目に寂しげな影を宿し、「あぁ」と頷いた。

 すぐそばにある彼のデスクも、段ボールの箱が二つ乗っているだけで、あとは綺麗に片付けられている。

「どうしてなんですか? あの日……課長が風邪を引いていた日、話していたことが関係あるんですか?」

 見上げると、彼は少し困ったように眉を寄せた。そして小さく息をつくと、徐に口を開く。

「俺もお前と同じだった」

 私と、同じ……?
 何のことだか分からずに目を瞬かせると、彼は目を細めて私を見つめた。
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