お見合い相手は冷血上司!?
「同行者は鈴原で決定。次だ。資料のグラフを見てみろ」

 彼は、また何事も無かったかのように説明に戻った。さらりと凄いことが聞こえた気がするんだけれど……。
 同行者って、一体どこへ? 誰と?

「……来週課長と北海道の旅、頑張って」

「えぇっ!?」

「おい鈴原! うるさいぞ!」

 桃の言葉に思わず大声を上げてしまい、すぐに飛んできた課長の怒声に、ギュッと肩を竦(すく)めた。

「……すみません」

 話を聞いてなかったとはいえ、何てことだ。
 みんなの視線の意味をようやく理解して、身体中から力が抜ける。
 冷血課長と出張……。二人でなんて初めてな上、普段ならただ怖いだけで済んだけれど、今の彼は全く行動が予測できぬ生き物だ。

 チラリと課長に視線を移すと、彼はそれに気が付いたのか、こちらも見ぬまま一瞬片方の口角だけを吊り上げる。

「……ッ!!」

 ――思い切り、公私混同してるじゃない!!

 私の安息は、いつ訪れるのだろうか……。
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