お見合い相手は冷血上司!?
「おい、どうなんだ鈴原」

「は、はい!」

 顔を上げると冷血課長がこちらを見つめていて、その眉は険しく顰められている。

「会議中に考え事とは、いい身分だな。じゃあ今のは、ぼーっとしていた鈴原に決定だ」

 見渡すと、会議室にいるみんなの視線が私に注がれていた。それも訴えるがごとき強い眼差しばかりに感じて、思わず息を呑む。
 しかし視線を課長に戻すと、こちらも今更『いいえ』とは言えない雰囲気だ。

「す、すみません。もう一度お願いします」

「ボケッとするな。二度同じ話はしない。詳細は、後で稲垣に聞け!」

「……はい、すみませんでした」

 すると鋭い視線を送っていた全員が、ほっと安堵しているのが分かった。
 隣にいる桃だけが、はぁーっと長い息を吐きながら哀れみの目を向けてくる。
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