浅葱色の記憶
「サクタ!!」


立ち上がり
鈴を懐に戻して、振り返る



「ごめんなさい」



頭を下げた



「サクタ君、少しだけど、記憶が戻ったよ」


近藤さんが、私に微笑む


そのあったかい笑顔ってば


私を簡単に幸せ気分にしてくれる



「どんなことですか?」 


「サクタ君と初めて会った日のこと」


私の手をとり、手首を擦ってくれる


「あの時も…手首を痛めてたね
芹沢さんが、手当てしてくれたんだったね」


「近藤さん…」


「私達が、君を特別に扱ったから
君は、間者の疑いがかけられていると
思って、ヤケを起こして歳と喧嘩したね」


「うん」


「女中になり、畑を作ったね
君が試作した沢庵が、美味しかったと
歳がわざわざ言いに来たことも思い出した
私にも、その沢庵を食べさせてくれるかい」


「うん」




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