浅葱色の記憶

沖田総司

「真結ちゃん、早い」

「宗次郎が遅いんでしょ」


屯所に戻って、夕餉のお手伝い


あまりの手際の良さに、遅れをとる


「痛っ」


「わっ!宗次郎何やってんの!?貸して!」


私の怪我した指をぎゅっとつまみ

素早く手当てをしてくれた


完全に足手纏いになりつつ


支度が終わる


サクは、嫌な顔せず


私を手伝わせてくれた



子供達と遊んだ時の呼び方で呼び合い


楽しかった

よし!決めた!


「真結 一緒に食べよう!」

「ちゃんは、どこいった?宗次郎…」

「どっか行きました!早く!!」


呼び捨てにしよう!!へへつ


なんて…簡単には、いくはずない



「真結ってなんだ?」


「私の名前ですけど」


「「「「「「はあ?」」」」」」


皆の間抜けな顔が可笑しくて

笑い転げてると、真結が言う


「笑うな!宗次郎!」


未だに子供ごっこをしてくれてる真結が
可笑しくて 可笑しくて


「真結 大好き!」

「なんだよ!気持ち悪い!」


とか、言いつつ



「私も、宗次郎、大好きだけどな!」


なんて、言ってくれた

私達は、素直になれない

だから、子供ごっこをして

その時だけは、素直になりたいんですよね




「なんだよ!お前ら!!急に仲良くなって!
ずりぃーぞ!!」


「大丈夫!今日だけだから!」


え?


「そんな!真結!!ずっと仲良くしよ!」


「たまにね!」


「えーーーー!!!!!」



本当、素直じゃない!!


笑ってるから


嘘だって、わかりますよ!!



あれ?










真結が笑うの…


凄く久しぶりじゃないかな?














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