浅葱色の記憶

近藤勇

桂が、サクタ君に口づけをした

桂の腕の中で、クタッと意識を失う


「真結を1人で外に出すなら、武器の1つは
持たせるべきだな
強いと噂で聞くが…
俺が通りかからなければ、死んでいた」


桂の目は、怒りに満ちていた


「大事にしないなら、奪う」


どうやら、嘘はついていない



「桂… 礼を言う
サクタ君を守ってくれて、ありがとう」


「おい!近藤さん!!」


歳が止めるが、桂の前に歩み寄る


「返してもらおう」


両手を出すとサクタ君をすんなりと渡してくれた

サクタ君の頬を愛おしく撫でる

桂は、サクタ君に惚れている


「なぁ 真結を斬った奴だが、短髪の男だ
心当たりはあるか?」


短髪…


「あぁ 中山圭吾
サクタ君と同じ道場らしいが…
サクタ君は、道場のことは語らない」


「そうか…」


「どうした?」


「いや、ちょっと変わった奴だったから
気になっただけだ」


桂は、何かを隠したような物言いだった


「熱さましの薬は、飲ませてある」


「わかった」


「それと、俺の女にする予定だから!
手は出すなよ!」


幹部らを挑発するように言い


サッと壁に一直線に走り、逃げて行った



「あの野郎!!!ぬけぬけと!!!」



「サクタ君にとっては、恩人だ
刀を持たせていないことを忘れていた
こちらに落ち度がある
無事で良かった… 中山君を探そう!」




サクタ君を看病の為、山崎君の部屋へ

永倉君が、抗議していたが


あんなの見せられて、永倉君が穏やかなはずがない


「熱があるんだ!医術に詳しい山崎君に
任せる!! 以上!!」



強引に幕引きをした





年頃の娘の腕に刀傷




これは、私の責任だ






「かっちゃん…すまねえ
刀の事、すっかり頭になくて」




「歳、これは私の責任だ
守ることをちゃんと考えてやるべきだった
この子は、帯刀していても人は、斬らない
女中にした理由は、守る為だったのに
対策が不十分で、怖い想いもさせ
怪我まで… どう詫びたらいいのか」









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