私たちの、歪な関係
「お待ちどうさま」
やっとの思いで作り終わると、ワクワクしている隼の前に冷やし中華を盛ったお皿を置く。
「わぁ!」
私も隼の向かい側に座ると自分の冷やし中華を置いた。
「食べよう」
隼に箸を渡して言うと、隼は嬉しそうに頷いた。
『いただきます』
その言葉の後、隼は冷やし中華にかぶりつく。
ど、どうだろう……
味濃すぎてない?薄すぎてない?
心配しながらもぐもぐとたべる隼を見つめる。
「うん、おいしいよ!」
すると隼はそう言って私を笑ってみた。
よ、よかった。
安堵して私も冷やし中華に手をつける。
それからは、学校の話をしたり夏休み中の話をしたりして冷やし中華を食べ終えると隼は冷蔵庫から自分の荷物を出して帰る支度をした。
私は玄関まで送る。
「じゃあごちそうさま。
おいしかった、また食べさせて」
「うん、いつでも。」
「あ、そうだ優衣」
「?」
私に背を向けたと思ったら隼はすぐ私に向き直った。
なんだろう?
ぺしっ
すると、急におでこに優しい痛みが。
「な、なに?」
どうやら隼が軽くデコピンをしたらしい。
「暗いんだから1人で出歩かないの、わかった?」
……きっと今日、スーパーに行った時間帯のことを言ってるんだろう。
「はぁーい、でも今日出歩いてなかったら隼に会えなかったから今日はラッキーだ」
私はそう言ってはにかんで隼を見上げると隼は小さくため息をついた。
「ばか、帰りたくなくなる」
そしてそう言って私の頭をくしゃくしゃっと撫でると軽く私にキスをした。
「戸締り、ちゃんとしてね」
「うん、ありがとう」
隼が玄関から見えなくなるまで手を振ると、隼に言われた通りドアの鍵を閉めた。
ガッチャン……
さっきまで隼がいたリビングは、まだ微かに隼の匂いが残ってるような気がしてならなかった。
少し、寂しいと思った。