私たちの、歪な関係


「隼はどうしてここに?」

「ちょっと学校に用があってね」


そう言う隼の服装は制服だった。

「進路のことで提出するものがあったんだ」

「そっかぁ…」

進路……

私もしっかりしないとな。



















「ねぇ優衣、明日ヒマ?」

しばらく話しながら歩くと、隼が言う。


「明日?特に予定はないよ」

というか毎日予定はない。

「ならさ、水族館にでも見に行かない?
チケットもらったんだよね」

隼はそう言って私に水族館のチケットを2枚見せる。

水族館……

「行く!行きたい!」

「じゃ、決定。
少し遠いけど電車でのんびり行こう」

「うん!」

水族館……!

「明日9時ごろ迎えにいくから」

「わかった、ありがとう」


そんな話をしていると、あっという間に私の家の前についた。


あ……送ってくれた。

「送ってくれてありがとう、また明日ね」

「うん、また明日」

いつの間にか繋いでいた手をするりと離すと、手が少しさみしい。

でも大丈夫、また明日すぐに会える。


隼の背中を見えなくなるまで送ろうとしたけど、隼が危ないから家入りなって逆に見送られてしまった。

あ。明日の洋服はどうしようか。

楽しみだ。




その日私は、遠足前の子供みたいにわくわくしてよく眠れなかった。






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