私たちの、歪な関係
「若い人がくるのが久しぶりなので嬉しかったですよ」
マスターとよばれたおじいさんはそう言って笑うと、またカウンターの中へ行った。
「すみません、お会計お願いします」
それを見届けると、私は勉強道具を片付けてその店員さんに言った。
帰り道。やっと電車を乗り継いで自分の家の最寄り駅についた。
今日はなんだかいい1日だったなぁ。
とってもスッキリした。
暑さもこの時間には少し和らいで涼しい。
夜風に吹かれていると、肩が急に叩かれた。
「わっ」
「あ、ごめん。声かけたんだけど気づかないから」
振り向くと、隼だった。
「あ、そうだったの?ごめん」
隼と会うのはあの日ぶり。
なんだか随分久しぶりに感じる。
「優衣、またこんな時間に出歩いて…」
隼がため息をつく。
あ……そういえばこの前気をつけろって言われたっけ?
「ごめん、でもね?今日とっても雰囲気のいいカフェ見つけたんだ」
私がそう話し始めると隼はまったく…と言いながらも笑って話を聞いてくれた。