私たちの、歪な関係
「今日は髪おろしてるんだね」
ガタンゴトン…
電車が優しく揺れて揺れる度に微かに隼の肩と私の肩が触れる。
「うん、いつも縛ってるからおろしてみようかなって」
繋いだ手は繋いだまま。
「なんかレア感」
「レアだよ。」
なんて冗談を言って笑う。
「なんで優衣はいつもツインテールしてるの?」
隼が私のゆるく巻かれた髪に触りながら言う。
なんだか照れるな……
「ツインテールは……お母さんとお父さんに、
特にお父さんに昔1回だけ言われたことがあるんだ。『優衣はこの髪型が一番似合うね』って、たった1回言われただけなのになんだかその言葉が忘れられなくて……
それからずっと私はツインテールしてるんだ」
変な話でしょ?と笑うと、隼は優しくいや?と言った。
「いいじゃん、ほんとだし。
似合ってる。もちろん今日の優衣も可愛いけど」
「は、隼だってかっこいいよ」
「あはは、ありがと」
私ががんばって振り絞った言葉を華麗にかわされたような気がする……
言われ慣れてるのかな?
まぁ、そうだよね。
これだけかっこよかったら。
まぁ、そんなことより今日は水族館。
「水族館楽しみだね!」
「うん、楽しみ」
水族館なんていつぶりだろう。
本当に久しぶり。
楽しみだ。