私たちの、歪な関係
「楽しかったぁ」
夕方、1日水族館で過ごした私達は近くの海辺に来ていた。
「俺も。楽しかった」
夏場だから人が多いかなと思ったけど、夕方だからこの海辺はあまり人がいない。
「お昼も美味しかったし、今日は本当にありがとう!」
お昼は水族館の園内でとったんだけど、メニューが魚モチーフで可愛かった。
「こちらこそ、俺もほんとに楽しかった。
よかった、夏休み出かけられて」
隼と手を繋いで海岸沿いを歩くと、なんだか眠くなってきてしまった。
「優衣?」
「ん?」
「眠いの?」
「少し。今日本当に楽しかったから…」
少し隼の腕に自分の腕を絡ませると、隼は嬉しそうに笑って私の頭を撫でた。
「優衣」
「んー?」
「こっちみて」
「な……」
隼に言われた通り、隼を見上げると不意にキスをされた。
「だ、誰かいたら……」
「いないから、ほら周りみてごらん?」
あたりを見渡すが確かに誰もいない。
「……ばかじゃないの」
なんだか照れたので、そう言ってそっぽをむくと隼は面白そうに笑って今度は私の頬にキスをした。
「なっ!」
そう言って隼をみると、してやったりの顔をしてまたキスを落とした。
どうしたんだ、いつもはこんなに甘えてこない。