私たちの、歪な関係


「隼は?」

まだ項垂れてる駿くんに声をかける。

「えー、多分すぐ来ると思うよ…」

だめだ、余程見られたのがショックらしく駿くんに話しかけずらい。

「もう紫藤!私たちお客!席案内してよ!」

「はーい…こちらでございます。
2名様はいりまーす…」

まったく覇気のない駿くんなんて初めて見た。

「あ、そういえば2人ともコスプレかわいいよ。
よく似合ってる」


駿くんは思い出したようにそう言うと私たちを席に案内してメニューを渡してくれた。

「そりゃどうも、紫藤もよく似合ってる」

花音がメニューを開きながら言う。

「………鬼」


駿くんがボソリと呟いた言葉はきっと花音には聞こえてない。


メニューをみると、品数は少なくてジュース中心だ。

まぁ予想はしてたけど。

お昼は後で屋台とかで買った方が良さそう。

「私オレンジジュース」

花音も同じことを思ったのかそう言う。

「じゃあ私も同じの。あとこの特製クッキーも」

「かしこまりました。少々お待ちください」


特製クッキー、誰かが作って持ってきたのかな?

「花音もクッキー食べよ」

「たべるたべる!」


教室に取り付けてあるカーテンの裏に消えていく駿くんを見送ると、それと入れ違いに隼がでてきた。

「あ、隼…」

「え、ほんと?」

私と向かい合うように座っている花音は振り向く。


「うん、ほら」


隼の方を見ると花音も気づいた。

「ありゃ~美人になって!声かけてきなよ!」


「う、でも……」

嫌がってたのに…

「いーから!ほら!」


花音は無理矢理私を立たせると背中を押した。

それで私は一歩前に出て、その物音に気がついたのか隼がこちらを向く。

「なっ…………!」


そして顔を青くする。


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