私たちの、歪な関係
駿くんは茶髪のカールのよくついたカツラだったけど、隼は黒髪のストレートのカツラで駿くんがギャル系なら隼は清楚系だ。
でももとが整っているだけあってとても綺麗なのが複雑だ……。
「隼かわいくなったね」
少しからかったようにお盆の下から覗いて言うと真っ赤な顔の隼が見えた。
かわいい…
「私のクラスコスプレ写真館やってるんだ、よかったら来てね」
宣伝も兼ねて首にぶら下げていたダンボールを隼に見せる。
「…はぁ、だからナース服なんて着てたわけ…」
「そうだよ」
もう見られることを諦めたのか、お盆を顔の前から退かした隼はそう言って私の服を指さす。
「ほんと心配…
これから店番なの?」
「ううん、とりあえず呼び込みだから店番はないよ」
「じゃ、午後一緒に回ろ。」
え、ほんとに?嬉しい!
「いいけど、隼仕事は?」
「もーすぐ終わる」
「じゃあ私食べ終わったら待ってるね」
私はそう言って花音の元に戻ろうとすると、腕を掴まれた。
「いや、優衣も着替えて」
「え?」
なんで私も?
隼はわかるけど私はべつに…呼び込みも兼ねてるし…
「私は呼び込み係だからこのままで大丈夫なんだ」
「いや、そうじゃなくて」
「?」
どうしたんだ?
するとぐいっと腕を引っ張られて隼は私の耳元で小さく
「その服スカート短すぎ、だめ」
と言った。
なっ……!
その言葉に顔が熱くなるのを感じる。
「わかったら着替えてきてね。
俺気が気じゃない…」
「わ、わかった……」
そして隼は何事も無かったかのようにカーテンの中へ消えていった。
私も花音の元に戻ると花音はニヤニヤしながら私を見てきた。
「な、なに」
「なにじゃないよ、まぁ教室のど真ん中で堂々といちゃいちゃしちゃって…」
「別にそんなんじゃ…」
「で、なんだって?」
「このあと一緒に回ろうって…」
「いーよいーよ、行ってきな!」
「ありがと花音」
「あたりまえってことよ!私も他校の友達来てるみたいだしその子達といるわ~」
「わかった!」
するとすぐ、今度は男装をした女の子が注文したものを運んできてくれてそれを私たちは食べ終えると花音は友達のところへ、私は着替えるために更衣室へ解散した。