副社長には内緒！〜 Secret Love 〜

莉乃は会社から少し離れた都内のマンションに一人暮らしをしている。
ビルから急いで外に出ると、人が多く行き来する街を足早で駅へと向かった。
帰宅時間のこの時間の電車は苦痛だったが、なるべく窓際に行き外を見ながら自分の駅へと到着するのを待っていた。

３０分ほど電車にゆられて家に帰ると、一番にシャワーを浴びてルームウェアーに着替える。

莉乃の毎日の日課だ。

会社では見ることのない、ゆるくパーマのかかった背中の半分ぐらいはある長い髪をタオルで乾かしながら、オーディオ―のスイッチを入れるとゆるやかなジャズをかけ、冷蔵庫を開ける。

（何があったかな？）

莉乃は、赤ワインをグラスに注ぎ一口飲んだ後、冷蔵庫からチーズ、生ハム、アボカド、マグロ、ルッコラを出してご機嫌で料理を始めた。


お気に入りの全粒粉のクラッカーをだし、チーズと生ハムとルッコラをのせたものと、アボガドを手早く潰し、マグロを混ぜ、醤油とマヨネーズ、隠し味にワサビとレモンを入れ、ディップを作りお皿に乗せた。

「うん、おいしそう」

流れるジャズにリズムを取ながらテーブルに並べて、ゆっくりとワインと食事を取った後、２２時３０分。
おもむろにノートパソコンを開いた。