副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
「大学3年の時に付き合い始めたの。最初は優しくて、誰からも人気があって、かっこよくて。お金持ちで。まあ、よくいう、モテるタイプの人だった。なんの問題もなかったの。でも、付き合い始めて半年ぐらいたった頃から、彼は変わったの」

「どんなふうに?」

「初めは束縛がひどくなって。電話は一日に何十回となって、出れないと豹変したように怒るの。そんな毎日が耐えきれなくなって別れを切り出した。そして私は別れたつもりだった。でも……」

「ストーカー?」

「そう。実家でも、学校でも常に付きまとわれた。私はノイローゼ気味になっていった」

そこまで言って莉乃は自分の手をぎゅうと握った。

誠はその莉乃の手にそっと自分の手を重ねて、莉乃に「大丈夫?」そう問うように莉乃の瞳を見た。

莉乃も静かに頷くと、誠の手を握り返した。

「実家の父、母、弟もみんな神経質になっていった。とうとう警察にも相談をした。でも、なかなか事件が起きる前に、動いてくれない。そして、彼の実家が、力を持った家だったから、簡単に彼には注意が与えられた。しばらくは大人しくなって安心していた」

そこで、莉乃は呼吸を整えるように、大きく息を吐くと、少し虚ろになった瞳をギュッと閉じてからゆっくりと開いた。

「そして、あの日……」
誠から見ても、莉乃の瞳の色が変わった気がして、自分も緊張していることに気づいた。

「警察に言ったことで、私も家族も少し油断してた。大学の帰りに車に乗せられて」
誠は、これから話されることがどの程度のものか想像できず、莉乃の手を握る力を強めた。

「人気のいないところで、いくら、元カレでもね。まあ、望まない事をされるのは嫌だった。必死に抵抗した。怒り狂った彼に……。何度も殴られて……」

そこで誠は、たまらず莉乃を抱きしめた。
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