副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
「なんとか、車から逃げ出して、民家が見えて、玄関を叩いたところで、追いつかれた。そして、わき腹をナイフで……そこで意識が無くなったんだけど、幸いにもその家の人が、警察と救急車を呼んでくれて」
少し震えた声で、莉乃は誠に体を預けるように話し続けた。
「しばらく私は入院をして、彼は刑務所へ。でも、家柄や元カレだったこともあって、重い刑にはならなかった。模範囚なら……もうすぐ、もう、出てきてるかもしれない……。それ以来、男の人に触られると、あの時の事が思い出されて……。さっきみたいに上から見下ろされると、つい……。だから、私は……」
誠は、想像以上の事に、莉乃にかける言葉が見つからなかった。
その代わりに、強く莉乃を抱きしめた。
莉乃の声は小さくなり、震えていた。
しばらく、そのまま誠は莉乃を抱きしめると、頭を優しくなで続けた。
莉乃の震えが止まり、落ち着いたのを確認すると、誠は抱きしめる腕を少し緩めた。
そして、莉乃の瞳を覗き込み、
「話してくれてありがとう。うぬぼれてるかもしれないけど、俺がこうすることは大丈夫なんだ?」
「私も驚いてるよ。そして……聞いてくれてありがとう。誠にとってはどうでもいいことだと思うし、迷惑かけてるのもわかってるんだけど……」