副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
「抱きたくなるのを抑えるのに必死だから」
莉乃の頭をポンと叩き、誠は笑顔を向けるとふざけたように言った。

「うそ……」
「なんだよ嘘って」
怪訝な表情で言った誠に、
「私なんか……」

そこまで答え、莉乃はやっと、自分のしたことに改めて驚いて顔が熱くなった。

(なにがもう少しよ!恥ずかしい……)

ドキドキしている胸の音を悟られないように、どうしていいかわからず俯いた。

莉乃の意外な問いに誠は唖然とした。
「私なんかッて……あたりまえだろ?」
どうして?といった表情の誠に、莉乃は少し瞳を曇らすと、

「だって……誠の周りの女の人って綺麗で、色気のある人ばかりだから。私は色気も魅力もないし」

(莉乃に色気が無い?魅力がない?どこがだよ!)

誠は言葉もでなかった。さっきのあの莉乃の表情を見て、抑えれた自分をほめてやりたかった。


「いつもの俺なら……」
そこまで言って言葉を止めた。いつもの俺なら確実にやってるよ。

(なんでしなかった?できなかった?)

そこまで、思って自分自身の気持ちに気づいた。
同情でもない、初めて守りたい、愛しい、一緒にいたいそう思った自分に驚いた。

女なんて信じないと思っていた自分が、初めてそれ以外の感情を持った。
こんなに、長い間一緒にいたいと思うのは莉乃だけだった。

「いつもの俺なら何?」
莉乃が不安そうな顔を向けたのを見て、誠はとりあえず「なんでもないよ」そう答えると、莉乃に見えない所でギュッと自分の手を握った。


(今の俺には何もいう資格がない。俺なんかに……)
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