副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
それから、夕方まであーでもない、こーでもないと女子トークを続けていた。

「莉乃、夜飲みに行こうか?大丈夫?」

「そうだね。行こうか」

クスリと笑いあうと、二人はマンションを出た。

「なんか、あっというまだね。こないだお店で会ったばかりだの様な気がするけど、お互いいろいろ変わったよね」
人通りの多い道を通り、初めて誠や弘樹と出会った店に向かいながら香織は感慨深げに言うと、少し暗くなってきた空を見上げた。

「そうだね」
莉乃もぼんやりとその時の事を思い出して、不思議な気分になった。

2人は、カウンターに座るといつもどおりビールを頼むと、カチンとグラスを合わせてビールを口にした。

「あーおいしい!」

「香織、せっかくの奇麗な顔が台無しだよ」
一気に飲んで、泡を口の周りにつけた香織に、莉乃はクスクス笑いながら言うとおしぼりを渡した。

「ありがと。ねえ、莉乃。それより誠さんとの事どうするの?」

「どうするって……。どうにもできないけど、もう少しだけ甘えさせてもらいたいなって。きちんと線を引かなきゃいけないのはわかってるんだけど、なかなか踏ん切りがつかなくて。でももう少ししたらきちんとするよ」

「そっか」
それだけ言うと、香織はそれ以上何か言うことなくメニューに目を向けた。

「いいんだ。私は恋愛できないもん。私なんかと付き合う人がかわいそうでしょ?」
わざと明るく言った莉乃に香織は悲し気な表情を浮かべた。
「莉乃……そんな事解らないじゃない」

「私は男だったら、こんなトラウマ持ちの女に関わるの嫌だもん」

「そんなこと……」
言葉を無くした香織に、莉乃は笑顔を見せると、

「あー、ごめん香織!暗くなったね。男がいなくても生きていける!飲もう!」
ビールを莉乃も一気に煽った所で、後ろから聞こえた声に、莉乃はビクリとした。

「ねえ、聞こえちゃったんだけど、失恋でもしたの?一緒に飲まない?」

(こんな時にナンパ……)

莉乃と香織は後ろを振り返った。
同じ年ぐらいの少し軽そうな男の人2人が、莉乃と香織を見おろしていた。

「失恋してないから大丈夫。今日は女子会なの」
香織の冷静な冷たい声にもひるむことなく、その男たちは言葉をつづけた。

「そんな事言わないでよ」
「だから……」

香織が男たちと話しているその向こうに、莉乃は目を奪われた。
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