副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
「ぜひ」

莉乃と香織の目の前には、誠と弘樹がいた。

「初めもナンパだったよね」
香織はチラっと弘樹を見ると、表情を変えずに言った。
「俺は、香織だったからナンパしたんだよ」

焦ったように言った弘樹をクスクス笑って莉乃は見ていた。

「確かに、こいつがナンパするのは珍しいもんな」
誠がうんうんと頷きながらうと、横から莉乃が冷静な眼差しを向けた。
「誠は珍しくないもんね」

「今はしないだろ?」
戸惑いながら、真剣に否定する誠を見て、莉乃と香織はクスクスと笑い声を漏らした。

「やばいな、誠。完全に俺らの方が立場が弱いぞ……」
ため息交じりに言った弘樹の言葉に、全員に笑顔が溢れた。

「ねえ、また今度テーマパーク行きたいな」
香織の言葉に、弘樹も、

「そうだな。行くか」

「私も行きたいな」
はにかんだ笑顔を向けた莉乃に、誠は頷いて笑顔を向けた。


23時をすぎ、
「そろそろ、行くか」
静かに言った誠の言葉に、
「そうだな」
弘樹は煙草の火を灰皿に押し付けてそして、ふっと笑うと誠を見た。

誠は莉乃をタクシーに乗せると、
「また次の休み、どっか行こう。おやすみ」

「うん。おやすみ」

「……じゃあ、また明日。会社で」
「……うん」

誠は小さく息を吐くと、莉乃のタクシーを見送った。
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