副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
初めて誠にあったBARでのことを思い出し、莉乃はまた切なくなった。

付き合い始めてから今までずっと、誠の事を莉乃は信じていた。

やはりどうしても誠と話す気にはなれず、覚悟を決め、誠がいなくなったのを確認すると、タクシーに乗り込んだ。

「東京駅まで」
そう告げると、莉乃は久しぶりの実家へと電車に乗っていた。

寒い中、探している誠にラインだけをした。
【しばらく一人にさせてください。探さないで】

そのラインからすぐに携帯が何度もなるのを、莉乃は電源をオフにした。

こんなことをしている自分自身にも驚いていたが、どうしても誠に女に人がいることは許せなかったし、顔をみたくなかった。


(どうしてよ……)

電車に乗りながら、涙があふれ出た。


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